連載 5つのテーマで学ぶ女性ホルモン剤と血栓症・4
日本人における女性ホルモン剤と血栓症発症に関する知見—全国疫学調査結果から①
杉浦 和子
1,2
1名古屋市立大学看護学部
2名古屋市立大学大学院看護学研究科
pp.872-876
発行日 2021年11月25日
Published Date 2021/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201927
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今回の主なテーマ
・OC(oral contraceptives)/LEP(low dose estrogen-progestin)を含むすべての女性ホルモン剤使用中の血栓症患者は,年間約640人の発症と推定される。
・また,人口10万人対における女性の年代別特徴を見ると,VTEの発症は40歳台,ATEの発症は40歳台と80歳台に大きなピークがみられる。40歳台のVTE発症にはOC/LEP使用が,80歳台のATEはがんや骨粗鬆症のホルモン療法が契機となるものが多い。
・OC/LEP使用中の血栓症では,VTEが約8割,ATEが約2割を占めている。また,1万人/年あたりの推定発症頻度は,年度別推移では年々上昇している。
・OC/LEP服用開始から発症までの期間は,服用開始から1カ月以内が最も多く,次いで3カ月,6カ月,1年の順で,2年以上でもゼロにはならない。
・使用するOC/LEPのエストロゲンの量が多いほど発症時期が早い傾向が見られる。
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