連載 多様性があたりまえの未来へ 国内最大規模のLGBTs調査結果から・5
ゲイ・バイセクシュアル男性におけるHIV/STIの流行とその予防的健康行動
日高 庸晴
1
1宝塚大学看護学部
pp.626-631
発行日 2021年8月25日
Published Date 2021/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201864
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HIV/AIDS流行初期
1981年にAIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こすウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が発見され,感染経路も明確となった。しかしながら,流行当初は20〜30代の若いゲイにニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫といった症状が現れ,米国などの都市部においてパニックが起こった。
HIV/AIDS流行当時の米国大統領は保守派政党である共和党から選出されたロナルド・レーガンであり,有効な予防対策を策定しなかった。さらには流行初期において,4H[Hemophiliacs:ヘモフィリア(血友病患者),Haitian entrants:ハイチ人,Homosexual:ホモセクシュアル,Heroin abuser:ヘロインユーザー]と呼ばれる人たちに感染が流行していることが取り沙汰されたため,4Hに属していない,もしくは彼らと付き合いがない,接触がない人々に「自分には関係ない」という誤った認識による「安心感」が広がってしまい,結果として多くの人々に感染が急拡大したと考えられている。
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