特集 エイズ対策は成功したか
ゲイコミュニティとエイズ対策
市川 誠一
1
1名古屋市立大学看護学部・大学院看護学研究科 感染予防学研究室
pp.930-934
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100986
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男性同性間HIV感染の動向について
厚生労働省エイズ動向調査1)によれば,男性同性間の性的接触(以下,男性同性間)による未発症HIV感染者(以下,HIV感染者)およびエイズ患者は,ほとんどが日本国籍・国内感染例で,年次推移は増加傾向にある.特にHIV感染者報告数は1990年代後半から著しい増加となっている.2002年の報告例では,HIV感染者614人のうち53.6%(329人)を男性同性間の感染者が占め,エイズ患者では308人のうち26.9%(83人)を占めている.報告地別では,日本国籍の男性同性間HIV感染者累計(1,621人)の56.3%(913人)が東京からの報告で,年次推移も増加が続いている.また,東京に比べると報告数は少ないが,近畿(主に大阪),東海(主に愛知)などの地方都市部からの報告も1997年頃から増加してきている.こうした男性同性間のHIV感染者・エイズ患者の発生動向は,この層への予防啓発と感染者・患者への医療・福祉に関する対策が緊要であることを示している.
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