連載 りれー随筆・434
暮らしごとの体験が助産力を向上する
片山 由美
1
1ゆずりは助産院
pp.224-225
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201757
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暮らしの中の助産
開業助産師として歩んで丸12年が経ちました。開業したての頃は,まだ息子たちは幼く(長男6歳,次男2歳),朝は入院中のお母さんのご飯作りに始まり,家事をし,息子たちの世話をしてから学校や保育園に送り出し,健診をしながらその合間に入院中のお母さんのお昼ご飯を作り(これが自身やスタッフのまかないにもなる),また合間に2階の自宅に戻り,洗濯を干したり掃除をしたりする。入院中のお母さん,赤ちゃんのケアや実習中の学生さんの指導が終われば,息子たちが帰ってくるまでに,つかの間の仮眠をとる(夜中にお産がありそうだ)。息子たちが帰宅したら,再び入院ごはん作り(これが家族の晩ご飯にもなる)をし,配膳が終わればつかの間のお母さん仕事。子どもたちが眠れば,ここから夜中の授乳介助や深夜のお産……。こうして暮らしも助産も,一つの建物の上階下階で繰り広げられる毎日を過ごしてきました。
暮らしの中で日々生まれてくる赤ちゃんたちを通して,人生のスタートから自分の路は自分で切り拓き,命がけで「生まれる」ができた子どもたちなのだからと,息子たちのことも心から信頼して見守り,あれこれ手を出すことのない関わりができました。今,小さかった息子たちは高校3年生,中学2年生となり思春期真っ盛りです。自分の路は自分で切り拓いていく息子たちを見て,助産や赤ちゃんたちから教わったことと自身の育児が本当につながっているのを実感しています。
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