研究・調査
胎児診断を受け出産した母親が足浴・足マッサージを受けて表出した思い
伊藤 悦子
1
1千葉県こども病院 産科病棟
pp.704-709
発行日 2018年9月25日
Published Date 2018/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201092
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
A病院の産科外来では,胎児診断で胎児の異常を指摘された母親が,紹介のうえで受診となる。胎児の異常を指摘された母親の思いについて山中は「胎児をあたかもモンスターのように感じてしまい,正常な部分や小さいかわいい存在としてのわが子が薄らいでしまう」1)と述べている。A病院でも,胎児診断を受けた母親が動揺し,不安な気持ちが強くなり,妊娠継続を迷い,積極的な治療を希望しないケースもある。またそういった母親は,妊娠途中での転院であるため出産までのA病院外来受診回数は少なく,助産師や看護師との信頼関係が不十分なまま出産となるケースが多い。
一方,先行研究で小西2)は,足浴・足マッサージの有効性について,産後の女性は育児などで睡眠不足や疲労が蓄積し,自律神経が乱れやすいが,足浴・足マッサージを行なうことで,睡眠導入,疲労回復,下肢浮腫の改善,全身状態の調整に効果があると述べている。また齋藤3)は,人の手のぬくもりで安心し,タッチングにより信頼関係が生まれると述べている。
そこで,助産師や看護師の手のぬくもりを感じることが信頼関係を築く一助となると考え,足浴・足マッサージを胎児診断を受けて出産した母親へのケアの手法として取り入れることにした。助産師や看護師が足浴・足マッサージを行なうことは,胎児診断を受けて出産した母親との間に信頼関係を築き,思いの表出を促すことができるのかという点を明らかにし,今後の看護の示唆を得るためにこの研究に取り組んだ。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.