連載 『産み育てと助産の歴史』から見える未来・4【最終回】
執筆に込めた2つの思い
田間 泰子
1
1大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科
pp.1038-1040
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200657
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性・生殖と社会との関係をめぐる変化
私は社会学者で,大学院に進学した時(1980年代)の研究テーマは人工妊娠中絶でした。中絶は妊娠や出産・不妊とともに,1人ひとりの女性の立場からすると,心も身体も人生そのものも大きく左右される出来事の1つです。と同時に,国家にとっての大事でもあります。つまり,1人ひとりの女性の身体と人生には,女性たちの思いや性的なパートナーとの関係性,そして国家の政策が反映されています。
『産み育てと助産の歴史—近代化の200年をふり返る』で第一に伝えたかったことは,現代の日本社会で人々があたりまえのように享受しているさまざまなことが,日本の歴史を知れば,決してあたりまえではないということです。
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