増大号第2特集 看護学生・教員エッセイ─入選エッセイの発表
学生部門
患者の言葉に込められた想い
佛川 鮎美
1
1苫小牧看護専門学校専門課程看護学科
pp.746-747
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200287
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「いいわね,あなたたちは元気で。私もそうなれたらいいのに」。そんな一言から私の実習は始まった。これは,初めて行く内科病棟への実習に緊張と不安を抱え,この方にはどんな看護が必要だろうと考えながらA氏に明るく挨拶を交わした際に言われた言葉である。このとき私は,A氏の言葉に込められた想いに気づくことができなかった。
私が実習先で受け持たせていただいたA氏は,自己免疫疾患を発症し,長期にわたりステロイドを内服している方だった。そして,ステロイドの副作用から食欲不振と抑うつ症状が現れ,入院となっていた。A氏は会話のなかで自己を否定する発言や今後についての不安を訴えることが多く,活動する意欲もわいていない状態だった。何日かA氏とかかわっていくと,疾患に伴う症状やステロイドの副作用による苦痛の状態が抑うつの程度に影響しているということに気づいた。そして,発言が前向きなときにはA氏自ら運動をしたり,食事を積極的に摂ろうする様子が見られ,抑うつの程度が活動に影響を与えていると考えた。A氏は元々活動的な方であったが,現在は活動する意欲が低下し,活動することができない自分に不満をもっていた。
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