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超巨大児の誕生
胎児が10パウンド(4536g)を超えると予想される場合,病院分娩と決まっている。もちろん個々のPelvimetry(骨盤のアセスメント)も考慮するが,肩甲難産やその他の合併症に備えるためだ。日本では肩甲難産はほとんど記憶にないのだが,こちらではときどきある。Birthing Centerでは健診ごとに子宮底を計測し,36週あたりから健診ごと,そして入院時に児の体重を触診で予想する。SGAやLGAが考えられるとエコーをとるが,すでにIUGRと診断された児を除き,6パウンド(2721g)以上で9パウンド(4082g)以内であると,その他の理由がない限りエコーはしない。
以前担当したケースは,入院時に触診で8.5パウンドくらいであろうと予想していた。しかし分娩後,児があまりにも大きかったので計測前に皆で9パウンドはあるだろうと推測し合った。私が24時間のオンコールを終え計測の前に帰ると,同僚からメッセージが送られてきた。なんと児の体重が10パウンド7.5オンス(4747g)だったという。続いて「You are a champion!」というメッセージも送られてきた。次の日私のお産をみていたシニア助産師に「頭がなかなか出てこなくて(肩甲難産なのではないかと)怖くなかった?」と聞かれた。確かに母がいきんでも児頭がなかなか出きらず,まわりはヒヤヒヤしていた。私は児の肩を確認できていたのでまわりほど不安ではなかったが,もう30秒長くかかっていたならばシニア助産師に手伝ってもらっていたかもしれない。裂傷は2度で複雑ではなかったので,縫合も問題はなかった。私のレオポルドも当てにならないなあと落胆したものの,エコーですら1パウンド以上も外れることもある。先月ほかの助産師が12パウンド(5443g)近くの児を介助した。予想では9パウンド。へこたれず経験を積み,分娩の経過中アセスメントで異常を早期発見し,常に緊急に備えることが大切だ。
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