連載 女性骨盤底再入門 いま知っておきたいこと・8
子宮脱・膀胱瘤について(1)
中田 真木
1
1三井記念病院産婦人科
pp.602-607
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102233
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子宮脱と膀胱瘤は,私たち女性骨盤底専門医の仕事の中心をなす疾患です。これらは,最近は「骨盤臓器脱」(pelvic organ prolapse,以下POP)と総称されることもあります。「子宮脱」よりも「骨盤臓器脱」という表現を好む人がいるのは,子宮摘除後でも膀胱瘤や腹膜瘤(小腸瘤と言うこともある)になることがあり,「子宮脱」という言葉では病気の全体を括れないように感じられるせいでしょう。それに,腟や骨盤臓器がはみ出すとき,確かに何かがはみ出すのだけれど,下垂・脱出の主体が子宮なのか膀胱なのかは簡単に識別できない,というようなことがしばしばあるのです。
ただし少し古い慣習によると,「子宮脱」という疾患名は,子宮摘除後の腟外翻や,子宮よりも膀胱が下がっている場合にも使って差し支えありません。「子宮脱」という言葉は,広くはこの部類の病気をすべてひっくるめる総称として通用していました。
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