研究・調査
隠岐の島で生活する妊婦の妊娠・出産への想い(第2報)―離島に住む妊婦を支える助産師の役割について
西 夢貴
1
,
原 恵美
1
,
藤田 小矢香
2
,
西村 正子
3
1鳥取大学医学部保健学科看護学専攻4年
2鳥取大学医学部保健学科
3鳥取大学大学院医学系研究科
pp.254-261
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102137
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
隠岐諸島は日本海に浮かぶ島群で島前と島後からなる。隠岐広域連合立隠岐病院(以下,隠岐病院)は島後で唯一,産婦人科医療を提供している150床の総合病院である。2009年度の島後での出生数は97人であり,そのうち隠岐病院での出生数は40人であった。
隠岐病院は産科医師不足問題が顕在化した後,2007年に助産科が設立され4年が経過した現在,妊婦健診は助産科にて助産師外来を行なっている。医師の許可を受けた妊婦のみ,妊娠中期から助産師が担当して外来診察し,その他の週数は医師による診察としている。なお合併症などハイリスクと判断された妊婦は,医師管理のもと経過観察となる。
このように助産師と医師はそれぞれの役割を尊重し助産科を運営している。しかし,お産は正常な経過をたどる経産婦のみ取り扱っており,初産婦は36週の妊婦健診後に本土へ渡り出産まで過ごすことになる。このため妊婦の6~7割は島外での出産を余儀なくされている。
院内助産システムは医療上の健診だけにとどまらず,個々の妊婦とその家族が持つ不安や相談に時間をかけることで,心理的・社会的側面からもアプローチすることができる1)。妊婦が不安や情動の変動に陥っても,妊婦を支えるサポート機能があれば不安は軽減されるのではないだろうか。そこで,妊産婦を支援する助産師の立場に視点を向け,離島環境における医療者側の支援体制,助産師のサポート意識および役割について調査を行なった。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.