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はじめに
日本赤十字広島看護大学助産師教育課程では,助産実習Ⅲとして,秋の大学祭において,思春期の対象者に集団健康教育を実施する。近年,助産師による性教育が幼稚園・学校・地域において多くなされ,豊かなセクシャリティへの理解が肯定的な評価を得ている。そのことから,筆者らは学生とはいえ,助産師ならではの視点で性教育を実施したいと考えた。
1期生としてこの課題に取り組む過程で,筆者らは近隣の小中学校を訪問して,養護教諭に性教育の現状について話を聞いたり,文献やメディアからのニュースをもとに,今どのような性教育が必要とされているかを検討した。そして,10代の性感染症や人工妊娠中絶,自殺の増加といった問題を未然に防ぐために,中学生にまず自分たちのいのちの大切さをわかってほしいと考え,何度も教育計画書を練り直し,教材を工夫して練習を重ね,大学祭で「いのちの授業」を実施した。
大学祭の当日は,新型インフルエンザ流行による外出の自粛などにより,本来対象とした中学生の参加は少なかった。しかし,助産師学生によるいのちの授業は中学生だけでなく,未就学児童や小学生,その保護者,大学生にも楽しんでもらい,高評価を得た。さらに,保護者として授業を見学されていたT中学校教諭から,「ぜひ本校の3年生に実施してほしい」と依頼を受けた。そこで,指導教員とともに中学校教諭と打ち合わせを行ない,2009年12月に3年生の体験学習の一環として,「いのちの授業」を大学内の実習室で実施した。
本稿では,助産師学生が中学3年生に対して行なった「いのちの授業」を紹介し,企画・運営を評価するために実施したアンケート結果からわかった参加者のいのちに対する思いの変化を報告する。
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