研究・調査
隠岐の島で生活する妊婦の妊娠・出産への想い(第1報)―離島に住む妊婦の健康管理意識の高まりについて
原 恵美
1
,
西 夢貴
1
,
藤田 小矢香
2
,
西村 正子
3
1鳥取大学医学部保健学科看護学専攻
2鳥取大学医学部保健学科
3鳥取大学大学院医学系研究科
pp.168-174
発行日 2012年2月25日
Published Date 2012/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102114
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はじめに
人口2万3485人(2009年3月現在)が住む隠岐諸島は,日本海に浮かぶ島群で島前と島後からなる。隠岐広域連合立隠岐病院(以下,隠岐病院)は島後で唯一,産婦人科医療を提供している総合病院で,島後での2009年度の出生数は97人であり,そのうち隠岐病院での出生数は40人であった。
隠岐病院は産科医師不足問題が顕在化した後,2007年に助産科が設立された。妊婦健診は助産科にて助産師が行なっている。医師の許可を受けた妊婦のみ,妊娠中期から助産師が担当して外来診察し,その他の週数は医師による診察としている。なお合併症などハイリスクと判断された妊婦は,医師管理のもと経過観察することとなる。ただしお産は正常な経過をたどる経産婦のみ取り扱っており,初産婦は36週の妊婦健診後に本土へ渡り出産まで過ごすことになる。このため妊婦の6~7割は島外での出産を余儀なくされている。
妊婦は,この制約された出産条件と離島という特殊環境の中で,さまざまな不安やストレスなどを抱えていると考えられる。その不安要素によって健康管理能力の自己効力感は大きく左右されるために,妊娠初期からの保健指導や健康教育,育児相談による予防的医療のかかわりは重要である1)。そこで,隠岐の島で生活している妊婦は,妊娠期間や分娩などにどのような想いを持っているのか,妊娠が正常に経過するために気をつけていることは何かを,インタビューにより具体的内容を明かにすることを目的に調査を行なった。
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