連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・84
医療によって刻まれた傷
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Center
pp.290-291
発行日 2011年3月25日
Published Date 2011/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101858
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身体の傷を治す,心の傷を癒す。言葉ではとても簡単だが,実際心に刻まれた傷はそう簡単には癒すことはできないだろう。
2人目になる赤ちゃんが無事生まれた後,産婦のノエルの下肢が次第に震え始めた。両足を閉じてしまったので,「足を開いて」と声をかけるが,ノエルの下肢は小刻みに震えていて,自力ではうまく動かせないようだ。介助することを説明し,こちらが手伝って足を開かせると,両足の震えは一層ひどくなった。冷や汗が額ににじみ,表情が硬くなっている。
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