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はじめに
公立豊岡病院は,兵庫県北部但馬地域の500床の中核病院である。私たち産婦人科病棟(以下,4-東病棟)の助産師,看護師は,分娩の異常を予測し緊急事態に対応できるよう研鑽している。しかし,4-東病棟は出生率の低下とともに,他の病院と同じく産科,婦人科,他科患者の受け入れを行なう混合病棟であるため,分娩の急変に対応できるだけでは医療者としての責務は果たせない。
当院では,病院職員として全員が心肺蘇生法(Basic Life Support:以下,BLS)を実施することができるようBLS研修を行なってきたが,全職員を対象にする研修を毎年行なうことは容易ではなかった。そこで2008(平成20)年度から看護部教育委員会の委嘱を受け,主任会が看護職のBLS研修を病棟単位で実施することになった。主任会での研修企画「急変時に対応できる臨床実践能力のスキルアップ」を図るべく,病棟の教育係や救急蘇生(Immediate Cardiac Life Support:以下,ICLS)取得看護師へ協力を依頼し,「急変時の対応」を企画して定期的にシミュレーションを開催することとした。
また,2008年には,日勤帯の双胎分娩中に抗がん剤治療中の患者が心肺停止状態に陥り,人手不足と急変時対応の未熟さを実感する苦い体験をした。このとき改めて「急変時に対応できる臨床実践能力のスキルアップ」が必要であると感じ,当病棟の問題点を以下のように抽出し活動を開始した。
1) 急変時対応の事例および経験者が少ない。
2) 急変時対応のマニュアルがなく,それぞの場面においてスタッフの動き方,役割がわからない(特に夜間,分娩中)。
3) BLSの研修は受けたが,実際の場面で実践できるのか不安。
4) 急変時のシミュレーションが行なわれていない。
5) 急変時のスキルを,エビデンスを持って指導できるスタッフが少ない。
そこで,混合病棟ならではの患者の「急変時の対応」に取り組んだので,その成果を報告する。
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