徹底分析シリーズ 周術期抗菌薬とその周辺
多剤耐性菌に対する感染予防策—麻酔科医の目線で感染対策を講じよう
小林 敦子
1
Atsuko KOBAYASHI
1
1宝塚市立病院 感染対策室
pp.282-284
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202205
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医療環境では,すべての患者との接触に対して手洗い,手袋,ガウン,マスク・ゴーグル,鋭利器材の取り扱いを標準的な感染予防策として適用する。これを「標準予防策」と呼ぶ。この大原則は,多剤耐性菌に対しても,最も重要な感染予防策である。さらに,麻酔科医は挿管などの手技に際して,患者の唾液や体液と濃密な接触が想定される環境下にあるため,「標準予防策」に加えて,「接触予防策」を講じなければならない。「標準予防策」は血液への接触など主に感染源との直接接触に対して行われる予防策であり,「接触予防策」は排菌患者の周辺環境など感染源との間接接触に対して標準予防策に追加して行う予防策である。したがって,広い意味ではどちらも主に接触伝播に対して行われる予防策である。
多剤耐性菌multi-drug resistant organism(MDRO)は主に手指を介した接触感染で伝播する。本稿では,麻酔科医の知るべきMDROに対する感染防止策と術後の清掃について,前半では総論を後半では菌種別に各論を述べる。
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