連載 りれー随筆・303
生命を育む父の姿に想うこと
藤井 雅美
pp.282-283
発行日 2010年3月25日
Published Date 2010/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101630
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歴史が好きな父
つれづれに,父のことを話します。
私の父は,今年80歳になりました。今も元気に農業を営んでいます。
私は,父が自宅で,昼間からテレビを見ている姿を見たことがありません。私の物心ついた頃から,父はいつ眠っているのだろうと思うくらい,常に働いていました。
田舎で生まれた父は,尋常高等小学校を卒業すると同時に働きに出ました。15歳から働きに出たのです。当時はそれが当たり前だったようですが,本当はもっと勉強して教師になりたかったそうです。歴史が大好きで,今も寺社巡りや博物館巡りを欠かしたことがありません。以前,奈良の寺を一緒に巡ったときのことです。山吹の花が咲き乱れるのを見て,太田道灌の話を聴かせてくれました。私は山吹の花を見るたびに父の話を思い出します。
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