連載 BFH認定をめざして チームで支える母乳育児・9
新生児科医師の母乳育児への意識統一
川上 義
1
1日本赤十字社医療センター新生児科
pp.1134-1139
発行日 2009年12月25日
Published Date 2009/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101572
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はじめに
助産師と小児科医とは本来協働して母乳育児を推進する立場にあるが,母乳育児に対する微妙な意識のズレを感じることがある。母乳育児を懸命に推進している助産師から,「産科医は無関心だし,小児科医は抵抗勢力だ」という嘆きを聞くことがある。なぜ,このような相違が生ずるのであろうか?
母乳育児を進めるうえでは母子を一体として考える必要があるが,一般に助産師は母親を中心とした視点で捉える傾向があり,小児科医は新生児を中心に考えがちである。また,助産師は主に妊娠中から産院入院中にかかわるが,小児科医は産院入院中から退院後のかかわりが中心で,退院後の母乳育児にまつわるトラブルに遭遇する機会がときにある。
連載第9回では,小児科医の立場から,私見を含めて母乳育児について記す。本誌の読者である助産師の方々に,小児科医の考えを理解していただき,立場の相違を乗り越えて,今後一層協力して母乳育児が広く普及する一助になれば幸いである。
なお,今回はNICUに入院しているハイリスク児ではなく,いわゆる「正常新生児」を対象とした母乳育児支援について記す。「正常新生児」については新生児専門医だけがかかわるわけではないので,本稿でいう「新生児科医」とは新生児医療に関与する一般小児科医を含めたものである。
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