連載 スキルアップのための症例検討 問題発生時に助産師はどう対応するか・9
子宮内反症
進 純郎
1
,
高木 愛子
2
1聖路加看護大学臨床
2愛賛会浜田病院
pp.1130-1133
発行日 2009年12月25日
Published Date 2009/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101571
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症 例
28歳,未経産,既往歴に特筆すべきものはなし。妊娠7週で妊娠を診断され,以後妊娠経過は順調で異常所見は認められなかった。外来妊婦定期健診での血液検査などでも異常は認めていない。
月経歴:周期28日,持続7日間,身長157cm,体重58kg
妊娠39週3日,陣痛が発来し入院となる。入院時血圧:124/68,尿蛋白(-),尿糖(-)
入院後9時間56分で3056g,男児をアプガー・スコア9点(1分値),9点(5分値)で出生した。児娩出前に会陰正中側切開を施行した。
児娩出後,胎盤剥離徴候を認めなかったため臍帯を牽引したところ,胎盤は下降し,児娩出後20分で胎盤は娩出した。しかし,胎盤娩出後出血が増量し,流れるような出血を伴ったため内診をしたところ,子宮口を確認できず半球状の腫瘤を触知した。患者の痛みの訴えはそれほどなく,意識も清明であった。
腹壁から子宮体部を触診したところ,子宮底部に陥凹部が触れたため子宮内反症と診断した。出血量は800mLであった。
子宮収縮剤オキシトシンを点滴で静脈注射し,握りこぶしを腟内に挿入し腫瘤を上方にゆっくりと押し上げたところ,外診の手に子宮底を触知でき,子宮内反が整復できたことを確認した。
子宮内と腟に約2mのガーゼタンポンを挿入した。
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