Japanese
English
特集 現代カルチャーと若者のメンタルヘルス—デジタル情報社会における心の理解と支援
居場所のない子どもたちと少年非行
Children without any Place to be and Juvenile Delinquency
木村 一優
1
Kazumasa Kimura
1
1医療法人社団新新会多摩あおば病院
1Medical corporation Shinshinkai Tama-Aoba Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
トー横キッズ
,
Toyoko kids
,
虐待
,
abuse
,
性非行
,
sexual delinquency
,
素行症
,
conduct disorder
,
相互交流
,
interaction
Keyword:
トー横キッズ
,
Toyoko kids
,
虐待
,
abuse
,
性非行
,
sexual delinquency
,
素行症
,
conduct disorder
,
相互交流
,
interaction
pp.443-448
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670040443
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抄録
新宿歌舞伎町の周辺に集まる若者が“トー横キッズ”と呼ばれるようになった。このいわゆるトー横キッズが私たちのところを訪れるようになったのは,2019年頃からである。2024年4〜10月の7カ月間に当院に入院した実人数は7名であった。全員が,不安定な家族関係にあった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通して知り合った人から誘われ「トー横」に来て,パパ活といった売春,ホストなどと性交渉をもった。市販薬や違法薬物の乱用もあった。大人が「人を困らせる子ども」と捉えたら,子どもは監視の対象になり,警戒し過敏になり,衝動性も高まる。入院治療では,あたりまえの安心・安全を提供している。彼らは,大人に期待していないが,私たち大人が関心を向けると,大人を意識し,子どもらしくなっていく。児童精神科医が医療者として非行に関わるのは,非行に至った少年には敏感状態や衝動性があるからであり,安心できる相互交流ができなくなっているからである。

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