連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・61
亡くなった人からの優しい声
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.354-355
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101421
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すべての患者を助けたくとも当然,限界がある。命を助けることができなくても,患者との出会いは意味があることを,最近感じる機会が多くなった。
心室中隔欠損(VSD)が基礎疾患にある2歳の男の子(名前はJR,という)。すでに心肥大も進み,胸部の聴診は恐ろしい雑音と歯切れのない心拍でいっぱいだった。加えて,肥大していく心臓が気管を圧迫することで頻発する上気道感染。肺炎を起こし,狭い気管支を通り抜ける湿った呼吸音が響く。肺炎の簡単な治療ぐらいはできるが,基礎疾患を治すには手術しかない。
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