連載 りれー随筆・292
10年目の私
山下 由紀子
1
1済生会川内病院
pp.356-357
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101422
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混合病棟で
「最後までよく頑張ったよね」「今,○○さんが亡くなったの」と,スタッフ同士の会話。10m先の分娩室では,「おめでとうございます。赤ちゃんもママもよく頑張りましたね。元気に泣いていますよ」という祝福の声。生命のバトンタッチ…。この病院に就職して,何回かこういった場面に遭遇しました。人生のはじまりから終わりまで,人の一生をこの病棟で垣間見る瞬間です。
病棟には,産婦人科だけでなく,内科・皮膚科・外科・小児科など,いろんな科の患者さんが入院しています。その患者さんたちは,毎日赤ちゃんに癒されています(患者さんだけでなく私も十分…)。下膳場所は新生児室の前にあり,ほとんどの患者さんが足を止め,「あ~,かわいい」「泣いている,泣いている」「お腹いっぱいなのかね,スヤスヤ寝ているね」と会話が弾んでいます。
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