ぱんせ
亡くなってなお人の絆となった生涯,待望の復刻
西村 かおる
1
1日本コンチネンス協会
pp.460-461
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101004
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「向井承子さんが中新井先生のことを書いた復刻本だけど,評を書いてもらえませんか?」と電話をくれたのは,18年前,私に同じ本を手渡してくれた編集者だった.そして,数日後に初版本とまったく同じ表紙の懐かしい一冊が届いた.その表紙を見ているとタイムスリップしたような気分となり,一体この18年間で,排泄障害をめぐる状況は,自分も含めて何が変わったのだろうか,と改めて思った.
「ぜひ読むべきだ」と初版(1984)を渡されたのは1989年,私が排泄専門の看護師となることを決意してイギリスより帰国した直後だった.神経因性膀胱を専門とした大阪の泌尿器科医師中新井邦夫先生の生涯を書いたルポである.残念ながら,中新井先生は1981年にがんでお亡くなりになってしまったが,生きておられたら75歳.帯には「障害者の地域における暮らしを支えるシステムはどうあるべきか 自らの死に至る病を顧みることもなく,その答えを求め続けた一人の医師の壮絶な生きざま」とある.
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