連載 月便り・3
8月17日の宇宙ショー
志賀 勝
1
1月と太陽の暦制作室・〈月〉の会
pp.280-281
発行日 2008年3月25日
Published Date 2008/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101196
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昨年8月28日の皆既月蝕はご覧になったでしょうか?全国的には天気の悪かった夜のことでした。事前の情報ではほとんど伝えられませんでしたが,実はこの月蝕ではごく珍しい「月出帯蝕」という現象が見られ,月が蝕の状態のまま昇ってきたのです。私たち〈月〉の会のメンバーは静岡,愛知,長野の県境地帯の静岡側で観望していましたが,山のなかのことですから月の出時刻は中央標準時よりかなり遅れます。幸いここでは天気は申し分なかったので,今か今かと月を待ちました。皆既状態の,赤銅色をした月が山の端から突然現われる,そのときの興奮はことばに尽くせません。私などは,何かあらぬことを叫んでいました…。
月蝕の月が上がってきた山の名は桂山。いつ名付けられた山の名でしょう?かなり古い命名に違いありませんが,桂は「月の桂」を意味していますから,古来山と共に生きてきた人びとがこの山から昇る月の美しさを日々の楽しみとしてきたことがわかる名です。
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