貞操義務と姦通罪―その歴史と今日的意味

無国籍児の旅券

　本誌6号の本欄で，無国籍児への法的対応について取り上げた。民法772条「婚姻の解消または取消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する」という規定により，戸籍上，前夫の子とされてしまう子どもたちが年間1,700人くらい存在する。

　外務省は6月から，無国籍児にも前夫の姓と現在の姓を併記した旅券の発行を認めることとしたが，前夫の姓が記載されることへの抵抗感から，申請のあった13件のうち，数人が断念，残りも発券できない状況が続いているという(朝日6月19日)。

　問題はまだ続いているが，本号では，紙幅の関係で6号で言及できなかった「貞操義務」について考えていきたい。