連載 新生児ケアの不思議考証・Evidence & Narrative Based Neonatal Care
第8回 父親としての夫
横尾 京子
1
1広島大学大学院保健学研究科
pp.1014-1018
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100862
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はじめに
新生児は,この世界に生まれ出たとき,親の存在をどのように感じ取っているのだろう。出産をなし終えた母親に抱かれた新生児は,記憶された感覚世界を弁別しながら,母親に新たな安らぎと安心の源を探り当てているのだろうか。仮にこのような感覚的な母子の結びつきがあるとすれば,父親はこの関係にどのように入っていくことができるのだろう。わが子の誕生に感激する父親に抱かれたとしても,新生児というわが子は感覚的に父親という存在を確信はできない……。父親はこの世界での感覚的な関係形成を意識し,意図しなければ,わが子との関係は,作り上げることはできない。こ
子が母親の身体で育ってきたということを考えると,親子関係の始まりは圧倒的に母親が有利であり,新生児にしてみれば自分に責任をもって育ててくれる存在が1人いれば,生きていけるだろう。では,父親の存在はどこにあるのだろうか。子の成長に父親は欠かすことのできない存在であることは,心理社会的研究で明らかである。では,母親にとっての夫の存在は,どのようなものであろうか。
今回は,母親である妻は父親としての夫に何を期待しているのか,期待される夫はどのような状況にあるのか,育児のために休暇をとることについてどう思うか,また,「育児をしない男を夫とは呼ばない」のキャッチコピーについてどう思うかなど,いつもの3人の母親とその夫である父親に質問した。父親が家庭と仕事を両立させるという観点から,父親が育児をすることについて考えてみた。
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