特集 父親への保健指導とサポート
夫が「父親」になるためのサポート
二宮 恒夫
1
1徳島大学医療技術短期大学部看護学科
pp.537-542
発行日 1995年7月25日
Published Date 1995/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901277
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに—父子保健の開拓
子どもから大人まで一人ひとりが生きいきと生活できる社会でなければ,真に豊かで健全な社会の発展は望めない。人は対人・対物的環境のなかで,相互に関係し合いながら自らを発見,確立し,社会に適応する。子どもが最初に出会う環境は家庭であり,父親・母親である。したがって,子どもが健やかな発達を遂げるためには,家庭が健全であり,父親・母親お互いが社会的存在として生きいきと生活していることが大切なことである。
近年の大きな社会文化的変化は,女性の社会進出と核家族化である。結婚出産後もひとりの女性として自立し,社会に貢献したいという思いが強くなっており,男女共同のよりよき社会づくりがめざされている。しかし一方では,核家族化の進行によって母親は家庭において孤立し,育児・家事などの物理的・心理的負担が増大している。昨年度の国際家族年のスローガンは,「身近なデモクラシー」であった。それにはまず,女性の犠牲の上に立脚しない家庭生活を打ち立てることが必要である。わが国では,すでに男女雇用機会均等法,育児休業法が制定され,最近では母親の子育てに対する社会的支援対策としてエンゼルプラン(今後の子育て支援のための施策の基本的方向)がまとめられた。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.