特集 妊娠と放射線
―[コラム]妊婦・女性に答えるための―放射線の正しい知識Q&A
草間 朋子
1
1大分県立看護科学大学
pp.981
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100856
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Q 胸部X線検査を受けてしまいましたが,胎児に影響はありませんか。
A 胎児の健康影響を心配する必要はありません。何故なら,胸部X線検査の際に胎児が受ける線量は,影響を生じる線量(100mGy)に比べて低いからです。胎齢によって胎児の線量は異なりますが,いずれの時期であっても,母親の胸部X線撮影で胎児が照射野に入ることはありませんので,1mGyを超えることはありません。
Q 腹部の放射線検査を受けるには,「月経開始後10日以内」しかチャンスはないのでしょうか。
A 月経開始後10日間は,月経周期の短い女性でも,妊娠している可能性がないので,下腹部が照射野に入る,すなわち,胎児が直接,放射線を受ける検査は,この時期に受けるようにと勧められます。しかし,日常的に行なわれている腹部単純撮影など胎児線量が低い検査の場合は,これ以外の時期でも実施できます。この場合には,検査の必要性と胎児の健康影響は問題にならないことを妊婦に十分話しておく必要があります。胎児の線量が高いと予想される検査(マルチスライスCTなど)で,緊急に行なう必要のないものは,月経の始まった日から10日以内に実施したほうがよいと思います(特集内37ページ参照)。
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