看護教育研究
放射線診療および放射線被ばくの防護に関する看護師の知識・認識の実態
高波 利恵
1
,
馬場 健太郎
1
,
草間 朋子
1
1大分県立看護科学大学広域看護学講座保健管理学研究室
pp.528-533
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100309
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はじめに
医療において放射線を用いた診療は必要不可欠になっており,日進月歩で先端的技術が開発されている1)。放射線診療による患者への恩恵は大きいが,患者やその家族には医療放射線や医療被ばくに対する不安を持つ者が多く,そのことが必要な診療を妨げている場合すらある。
医療の現場では,患者らにとって身近な存在である看護師に,放射線診療や被ばくに対する患者らの不安に適切に対応することが求められている。しかし,看護師自身が放射線に対する正しい知識を持っていないために,誤った認識に伴う看護師の行動が患者らを不安に陥れている1)。この問題は以前から指摘されてきたが2, 3),日常業務の多忙さや知識を入手する機会の少なさのために,長い間解決されないままの状態である。よって,一刻も早く看護師が日常の放射線診療業務に関連した正しい知識を得て,それを看護に活かすための効果的なシステムを導入する必要がある。
そのためには,看護師の放射線業務の実態を把握する必要がある。しかし,看護師の放射線診療関連業務の従事の状況や放射線に関する患者らとのやりとりなどについて,複数の医療機関の看護師を対象に調査した報告はない。
本研究では,5つの医療機関のすべての診療科の看護師を対象に,今までに行ったことのある放射線診療関連業務,看護師自身や患者らの放射線被ばく線量低減のために行っている行動,患者らから受けたことのある放射線に関連した質問の内容などを,質問紙調査により把握することにした。
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