特別寄稿
一般医療者向け「がん患者の性相談」研修プログラムの実施報告―助産師の役割に着目して
高橋 都
1,7
,
金子 和子
2,7
,
渡辺 景子
3,7
,
大川 玲子
4,7
,
茅島 江子
5,7
,
渡邊 知映
6,7
,
甲斐 一郎
6,7
1東京大学大学院医学系研究科健康科学
2日本赤十字医療センターカウンセリングサービス
3日本性科学会カウンセリング室
4国立千葉病院産婦人科
5東京慈恵会医科大学医学部看護学科
6東京大学大学院医学系研究科健康科学
7「がん患者さんの性を支援するための研修会」実行委員会
pp.252-257
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100697
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はじめに
セクシュアリティは私たちの暮らしの重要な要素の1つであり,助産学にも直結したテーマである。しかし,何らかの病いを得た患者の生活の質を考える際,その「生活」を形作る要素として患者やパートナーの性が取り上げられることは極めて少ない。その傾向はがんについても同様である1)。医療者も患者自身も,「がんになったのだから,セックスなんて」「命が助かることが何より大切」と考え,このトピックを避けてきたのではないだろうか。乳がん患者の協力を得た面接調査では,治療後に心身両面で性的問題を長期間抱える当事者が多いことに加え,医療者に相談しても不適切な対応しか得られない実態が指摘されている2)。また,乳腺疾患を専門とする外科医対象の全国調査(n=635)では,回答者の半数以上が患者の性の悩みの相談にのることを躊躇し,約8割ががん治療後の性に関する情報不足を指摘しており,患者の性的問題に対応する際の医療者側のとまどいが浮き彫りになった3)。診断や治療の進歩に伴ってがん治療後も長期的に活発な社会生活を営む人々が増えている今,性に関する相談窓口としての医療者の役割は一層重要になっている。しかし,一体いつ,どのようなタイミングで,どのようにこのデリケートなテーマに取り組んだら良いのか,医療者自身にもとまどいが見られる。
本稿では「がん患者さんの性を支援するための研修会」実行委員会が,医療者の性相談のスキルアップを目的として企画・実施した全国研修会について報告し,助産師がこのテーマについて果たす役割について考察したい。
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