特集 「技術教育」のあり方を考える
現場の問題点を整理する
②十分な実践力習得のための教育課程とは
日隈 ふみ子
1
1京都大学医療技術短期大学部専攻科
pp.211-215
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100686
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はじめに
平成15年11月下旬,天使大学における助産学専門職大学院の認可が決定しました。日本における1年課程の助産学教育機関は減少の一途で,助産学教育機関の数の上では今や4年制の中での助産選択課程が最も多くなっています。そして,この課程における教育上の問題点については前稿(江幡先生執筆)をはじめとしたこれまでの調査の中でも明らかにされてきています。
表は国際助産師連盟(ICM),世界産科婦人科連合(FIGO),国際保健機構(WHO)が共同で出している助産師教育に関する勧告1)の一部です。この勧告は先進国,発展途上国に関係なく,世界共通の助産学教育に関するものですが,社会的に自立した助産活動を行なうためには十分な実践力を養うことが求められていることが分かります。日本の助産学教育の場合,1年課程の助産学教育ですらこの条件を満たす教育内容にはなっていません。つまり,日本における助産学教育は国際レベルの教育を提供できていないというわけです。
このような日本の現状ですので,この度,助産学教育形態の1つとして実践力習得に力点が置かれた専門職大学院の第1号が認可されたことは助産学教育充実の観点から,そして国際的な観点からも,大変喜ばしい結果であったと考えます。
そこで今回は,1年課程の助産学教育であっても十分な教育が提供できているとはいいがたい現状について,助産技術の観点から考えてみたいと思います。
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