抵抗の女(ひと)・イーディス・キャベル(最終回)
愛国心だけでは十分でない
高見 安規子
1
1東大看護学校
pp.48-54
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916201
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ついに「その時」が来た。7月31日,ボーク氏とテユリーズ嬢が逮捕され,ついで8月5日の夕方,イーディス・キャベルが逮捕された。新校舎の見回りを終えて帰ったばかりのところをいきなり車に押しこめられたイーディスは,「だいじょうぶよ,みなさん,すぐ帰ってきますから」と言い残すのがやっとだった。彼女は軍司令部に抑留された。
その夜は,学校も学生たちもドイツ軍当局の厳重な警戒のもとに置かれた。人々は,別れぎわのマダムのおだやかな顔つきをしっかりと心にとめ,ひたすら彼女の無事を祈った。
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