特集 妊娠期の新・臨床栄養―成人病は胎児期につくられるか
妊娠と葉酸栄養
田村 庸信
1
,
瀧本 秀美
2
1アラバマ大学バーミングハム校栄養学
2国立健康・栄養研究所国際栄養協力
pp.728-732
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100585
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葉酸とは
葉酸はBグループの水溶性ビタミンの1つで,特に妊婦における葉酸欠乏による貧血(巨赤芽球性貧血)を防ぐ因子として,1940年代に発見されました。葉酸は核酸合成やアミノ酸の代謝に欠かせないもので,細胞分裂に不可欠です。したがって胎児の成長と発育には,とても大切なものであると考えられています1)。
葉酸という言葉が使われる際に,大きく分けて2通りの意味があります。1つは化学的に合成され,自然界には存在しない,ビタミン剤などに使われるプテロイルグルタミン酸(folic acid,以下,FAと略)と,もう1つは食品中などにある葉酸の誘導体の総称として使用されるもので,自然界には百種以上の型があります。以下,後者を単に葉酸と略します。
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