特集 周産期のナラティヴ―助産師の語りの世界から
幸せという言葉にたどりつくまで
芦田 千恵美
1
1愛染橋病院
pp.279-284
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100497
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はじめに
病院という場所に勤務していると,時として“人”というものが見えなくなることがある。それは,患者や家族にとって,病院は医療を提供してくれる安心の場ではあっても,日常とは切り離された特殊な空間であり,そこに足を踏み入れる時,人は患者としてあるいは患者の家族としての役割を無意識のうちに演じてしまうからである。
そのような場面にあって,「語り」は役割という仮面の向こうに存在するその人の真実を伝えるものとして非常に大きな意味を持つ。「語り」に耳を傾け,感じ取った様々な事からその人に対するケアを考えていくことはホリスティックなケアを提供する専門職である,看護や助産には欠かせないプロセスと言えるだろう。
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