特集 中絶のケア
中絶前後のカウンセリング
長谷 瑠美子
1
1まつしま産婦人科小児科病院
pp.190-193
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100479
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はじめに
筆者がカウンセラーとして勤務する当まつしま病院では,自分のからだのことは自分が選択権・決定権をもつという考えの下に医療を行なっている。妊娠・出産はもとより,人工妊娠中絶も「社会における女性の役割」「男女の関係性」を女性自身が問い返す機会と位置づけている。
当院で妊娠と診断された人のおおむね4人に1人が中絶している。この割合は全国的な統計と比較しても差がない。
中絶のカウンセリングを始めて9年が過ぎた。当初は本人からの希望がある場合や医療者の勧めで行なっていた。しかし1998年からは本人がカウンセリングを希望する・しないにかかわらず,状況がより深刻だと思われる10代の中絶,中期中絶,頻回な中絶に限りルーティン化して介入をするようになった。この条件の該当者はだいたい一定していて当院の中絶全体の2~3割である。ルーティン化にあたっては,「余計なおせっかい」とか「中絶に来る人が減る」といった反対意見も職員からあったが,実施してみても年間の中絶総数はほとんど変わらず,ルーティン・カウンセリングは定着している。
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