特集 中絶のケア
人工妊娠中絶手術の実際
竹内 正人
1
1葛飾赤十字産院産科
pp.194-199
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100480
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はじめに
わが国では,母体保護法第14条に基づいて指定された医師の判断により「胎児が,母体外において,生命を保続することができない」時期に人工妊娠中絶が行なわれてきた。
当初この時期は,昭和28年6月の厚生事務次官通知をもって,「通常妊娠8ケ月未満」と定められたが,その後,昭和51年(1976)1月に「通常満24週未満」へ,平成3年(1991)1月からは「通常満22週未満」へと命のラインは医療の発展とともに前倒しされてきた。ただし,現在でも,母体生命に危険がある場合に行なわれる緊急避難行為としての妊娠の中絶は,妊娠22週未満を問われない。すなわち,疾病による母体生命の危険を防ぐために実施する妊娠22週以降の人工早産は,法的にも保障されているのである。そして,この場合の人工早産では,実施報告書の届出は不要である。
本稿では,そのうち,妊娠22週未満の母体保護法による人工妊娠中絶の手術の実際と注意点,そして,妊娠中絶術における合併症について概説する。
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