特集 中絶のケア
中絶をする人・した人のケアの実際
小竹 久美子
1
1まつしま産婦人科小児科病院
pp.185-189
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100478
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はじめに
人工妊娠中絶は現実には,出産と同じ数の女性が体験しているとさえいわれる。手術をする女性たちと出会うとき,この人たちは私たちにどのようなケアを期待しているのだろうかと思う。私たち助産師は,産む決定をした人にかける言葉はたくさん持っているが,産まない選択をした人の前では言葉をもたない。それどころか,妊娠を望んでいないのなら,なぜちゃんと避妊をしなかったのかと批判的になってしまったり,自分を大切にしていないようで腹立たしさを覚えたりすることもある。
当まつしま病院では12年前の開院当初から人工妊娠中絶手術(以下中絶手術)を行なっていて,助産師もケアにかかわってきた。2002年の中絶手術は20代が45%ともっとも多く,30代33%,10代が15%であった。未婚者と既婚者では,未婚者が66%を占める。中絶手術を受ける人たちのケアのなかに,4年前からカウンセリングをルーティンで組み込むようになってから,女性たちが中絶をする背景や抱えている不安などの状況がみえてきつつある。そして,私たちは今までとは違った対応も必要とされているのではないかと思うようになってきた。
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