連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・32
母乳育児を阻む間違った粉ミルクの常識
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.1010-1011
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100440
- 有料閲覧
- 文献概要
刷り込まれる,粉ミルク称賛
医療者の言葉,繰り返し放送されるマスメディアからのCMなどは,教育の機会が極端に少ないフィリピンの一般の人々にとって,それらが正しい情報として認識される。結果いろいろな場面で人々の健康を害している。それらの情報は正しくないと患者に認識してもらうには,かなり困難で時間もかかる。また,時間をかけても何も変わらない,ということは多々ある。しかし,諦めるわけにはいかない。
妊娠中の高血圧から病院へ転院した産婦ヒンダイは,無事に生まれたのはいいが,病院で「高血圧や浮腫みがある母親の母乳は,毒物が出るので赤ちゃんに与えてはいけない」と言われて帰ってきた。幸いまだ数日しか経過していない。頑張れば母乳はまだ出るはずだ。高血圧であっても母乳を禁止しなくても良いのだと説明する。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.