連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・28
命を懸けて産み出された
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.652-653
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100371
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変な予感
今年,新年第1号のお産は癒着胎盤から始まった。1年の始まりがこういう大変なお産で始まったことに,私とティナは顔を見合わせて互いにため息をついた。私たち2人は無言で今年は大変なお産が多くなることを予感していた。それが当たるように今年は本当に癒着胎盤が多い。4人目のお産のアルンもその1人になった。
産後いつまで待っても胎盤剝離兆候は見られなかった。お腹のうえで無邪気に手足を伸ばす赤ちゃんと共に待つ。やがて出血が始まり,それはだんだん深刻になった。癒着胎盤だ。急いでアトニンが入った点滴を開始する。口唇の色はさっきからの出血で一気に白くなっている。
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