連載 Let's Talk about Woman's Health⑰
産んでも産まなくても,その人の人生を生きるために
江夏 亜希子
1
1イーク丸の内・婦人科
pp.852-853
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100370
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- 文献概要
「子どもを産めるだろうか」という不安に苛まれる女性たち
外来で,よく尋ねられる,でも一番困る質問に「私は子どもを産める体でしょうか?」というものがあります.その気持ちはよくわかります.しかし,どんなに不妊治療が発達した現代でも,子どもはまさに「授かりもの」.「神のみぞ知る」領域が厳然と残されているように思えてなりません.実際,不妊に悩むカップルは10組に1組,体外受精の成功率は成績のよいところでも30%が限界と言われています.ですから,私は「絶対に妊娠できる,大丈夫」とは答えられないのです.それなのに,ほとんどの女性が,「子どもを産めない場合は人として認めてもらえない」ように考え,「自分は子どもを産めるのか?」と不安になってしまうのは,いったいなぜなのでしょうか?
不妊の原因は男女半々なのに……
不妊とは,「正常な性生活を営んでいるにもかかわらず,一定期間を経ても妊娠の成立をみない状態」とされます.生殖年齢の男女が,特に避妊をせずに性生活を営んだ場合,3か月以内に約半数,6か月以内には約3/4,1年以内には90%が妊娠し,2年間妊娠しないのは約4%ということで,この「一定期間」は1~3年の諸説あるなか,2年とするのが一般的です.そして不妊症とは,「不妊のために悩んでいる,または妊娠を希望して医学的な介入を求める場合」のことを言います.
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