特集 ―開業助産院からの報告―わたしが実践する,助産ケア
―エビデンス①―外傷の湿潤療法
夏井 睦
1
1特定医療法人慈泉会相澤病院傷の治療センター
pp.792-797
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100399
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はじめに
病院や家庭でごく普通に行なわれている医療行為のなかには,実は医学的・科学的根拠の乏しいものがかなり含まれている。それらは医療現場でルーチンの行為として入りこんでいるため,それが本当に必要なのか,なぜしているのかを問われることもなく,先輩医師から後輩へと「伝承」のような形で受け継がれていく。
そういう「伝承的治療」の1つが「傷は消毒してガーゼをあてる」治療である。外傷を消毒しない医師・看護師はいないだろうし,傷を覆うものとしてガーゼは最も多く使われている材料である。だが,そう傷が治るメカニズムと機序(=そう傷治癒)を知れば,消毒はそう傷治癒を妨げ,ガーゼも治癒を妨害する医療材料でしかないのだ。
以下,傷が治るメカニズムから正しい外傷治療の進め方を述べるが,これはあらゆる医療行為に普遍的な原理であり,出産前後のさまざまな処置(例:会陰切開部の処置,出産前の腟の消毒,帝王切開の際の傷の処置など)でも共通している。
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