特集 ―開業助産院からの報告―わたしが実践する,助産ケア
―エビデンス②―冷えが妊婦に及ぼす影響
後山 尚久
1,2
1藍野学院短期大学
2藍野病院婦人科
pp.798-801
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100400
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はじめに
いわゆる「冷え症」は一見健康そうにみえる女性にも多くみられ,自律神経失調症の部分症状としても,あるいは心に問題をかかえたり,身体的疲労の蓄積がある場合にも,気になる症状として認められる。自律神経は昼間の活動期は交感神経が優位であるため戦闘的であるが,ゆったりとくつろいだ気持ちになったときや夜間は,副交感神経が優位となるため末梢血管が拡張し,手足が温かくなり,気分が落ち着き,自然に眠くなるのが普通である。
しかし,自律神経失調状態になると,このスイッチの切り替えが行なわれず,常にいらいらしたり,動悸や顔面のほてり,不眠症,四肢末梢の冷えが出現する。また,女性は骨盤内に子宮や卵巣などの,男性にはない臓器があり,腰や下半身への血流が滞りやすい。さらに日常生活においても女性は肌を露出する服装(特に下肢)や,体を締め付ける下着の着用が多くなった。少なくともこれらの理由は,女性のほうが体の末梢が冷え,血行が悪く,「冷え症」が相対的に多くなっている現象を説明している。
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