特集 ―開業助産院からの報告―わたしが実践する,助産ケア
入院中/産後訪問~1年間の助産ケア
杉山 道子
1
,
伊藤 充代
2
,
今野 雄子
3
,
嶋田 恭子
3
,
藪内 孝子
3
,
鴫原 操
4
1杉山助産院両国マタニティハウス
2山本助産院
3目白バースハウス
4鴫原助産院
pp.787-791
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100398
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はじめに
目白バースハウス 今野 雄子
出産も終わり,やっとほっとしたとき,出産が満足いくものであればわが子を抱きしめたときの満足感,幸福感は,計り知れないものとなり,これからの育児に期待も大きく膨らんでいるでしょう。反面,出産時のネガティブな感情は,わが子との接点もうまくいかずに影を落してしまうことも,しばしば見受けられます。
分娩時の怒責がうまくできず,助産師から「赤ちゃんをうまく出してあげられないあなたはお母さんじゃない。赤ちゃん苦しいじゃない」と,言葉をかけられた母親は,それから人と目を合わせられなくなりました。育児の最中もその言葉が頭をよぎる瞬間があり,子どもと過ごす時間を義務的に感じてしまい,心から楽しむことができなかったそうです。
育児は手がかかるものです。子育ての間,母として生きていく時間を,子どもと夫とともに楽しんで有意義に過ごしていくためには,まず,出産を受容できるようにすることが必要です。どのような分娩であっても,分娩できたことをねぎらう,児への興味が増すような働きかけをし,児から愛されていることを自覚してもらうなど,時々に応じて育児への意欲が増していけるようにサポートしていくことが大切になります。
最初から指導ではなく,入院中の授乳の不安や傷の痛みなども訴えを聞くこと。はじめから授乳など上手にできるものではなく,いろいろ試してみてやっとわかることも,できることも多いと思います。はじめから褥婦さんに,レッテルを貼ってしまうことのないように,心がけたいものです。
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