特集 助産所でも診療所でも病院でも ここまでできる産後ケア
—【訪問(アウトリーチ)型産後ケアの実際】年間2000件以上。エンパワメントを大切にした—千葉市助産師会の産後ケア
川島 広江
1,2
,
新森 永遠路
1,3
,
渡辺 佐智子
1,4
1一般社団法人千葉市助産師会
2川島助産院
3にいもり助産院
4まんまる助産院
pp.142-146
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202264
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私たち千葉市助産師会(以下,当会)は,ポピュレーションアプローチとして訪問(アウトリーチ)型産後ケアに力を入れている。虐待や母親の自殺など周産期の問題において,ハイリスクアプローチのみでは対応が困難であり,ポピュレーションアプローチが必要と述べられている1,2)。実際に私たちは,開業助産師として母子に長く寄り添う中で,そのような問題の早期発見や回避を少なからず経験してきた。さらに,子育てに前向きになり,積極的に親役割を引き受けるというような,母親や家族がエンパワメントされていく姿を目の当たりにしてきた。このような関わりは数年にわたることも多く,中には20年以上継続し,次世代を支援するケースもある。
アウトリーチは移動時間の負担はあるが,母子の命が育まれる日常生活において助産ケアが提供できる機会として,他には代えがたい。一方で他職種や自治体との共通認識がなければ予算確保は困難であり,ケアを提供する助産師の確保も大きな課題である。
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