特集 ―開業助産院からの報告―わたしが実践する,助産ケア
妊娠期の助産ケア
杉山 道子
1
,
伊藤 充代
2
,
髙橋 景子
2
,
髙柳 起久惠
2
,
岡本 久仁子
2
,
今野 雄子
3
,
嶋田 恭子
3
,
藪内 孝子
3
,
鴫原 操
4
1杉山助産院両国マタニティハウス
2山本助産院
3目白バースハウス
4鴫原助産院
pp.764-774
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100395
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はじめに
杉山助産院 両国マタニティハウス 杉山 道子
いのちの物語が始まる第1章に助産師がかかわる意味は大きいし,私は妊娠・出産・育児にかかわったときから,その家族とは一生の付き合いが始まると思っています。
情報過多のなか,彼女たちは変化する体と社会的要因を容易に受け止めることができません。来院してくる女性は妊娠をどう受け止めているか,また家族の意識はどうか,私は彼女たちの「いのちはぐくむ責任と自覚」を確認します。
「この子が生まれるために私たちは出会いました」
「5人の母になるために私は生まれてきました」
「妊娠と出産は感情と直感がものいう女性的なプロセス――『妊娠と出産のハーブ医学』(フレグランスジャーナル社)より」
など,数多くの女性たちが妊娠出産育児の体験後,語った言葉です。
いのちをはぐくむことの素晴らしさを伝えます。この言葉には深い思いがあります。
このような体験者の声を伝えることは,妊娠している今だから心にしみる言葉だと思います。そして,赤ちゃんはあなたとあなたの家族を選んできたことを重ねて伝えます。こころにムーブメントを起こすわけです。
ムーブメントは伝承・文化・慣習を体得しようと意欲的になり,柔軟に価値観を発見します。妊娠を楽しみ,お産は産める力を信じ,育児をチャレンジにつなげます。
「こころをこめる」ケアと言葉の繰り返しで,方法とこたえを一緒にみつけます。「弱き者・小さき者・声なき者の手となり,足となり,目となり,耳となり,こころとなり,魂となり」かかわるすべての人に愛をもって忠実で誠実であること,それが助産師の使命でしょうか。
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