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はじめに
助産師は,美しく強く
山本助産院 山本 詩子
助産院では,妊産婦と家族に継続的にかかわりを持ちながらケアできる特徴があり,それが利点といえます。しかし,初めて出会った産婦に対しても,まるでずっと付き添っていたかのように受け入れ,対応することができています。助産師個々のパーソナリティーといったことではなく,「どのような場面でも受け入れる能力」も,助産技術には大切な要素ではないかと感じています。助産院におけるケアの実際を文章にしてもなかなか伝わりにくいところでありますが,優しく強く寄り添うことや,教科書には出ていない角度からのかかわりをまとめてみました。
助産院での助産技術が,病院のなかで反映されるのはどんなことなのか,分娩を終えた方からの感想文のなかに,そのヒントとなることが網羅されていたので,一文を紹介します。
「苦しい陣痛から出産までのサポートを助産師に介添えしていただき,本当に心強かった。経験からくる自信・実績による裏打ちされた技術,文句なし。上手に私を褒めて励ましてくれて,心の底から信頼できた。今回の出産は,私の人生のなかでの大きな宝物になった。かわいい赤ちゃんを授かり,周りの方々に支えられ,心も身体もリラックスできる部屋でおいしいご飯をいただく。幸せ以外の何者でもない。助産師という仕事について大変なご苦労があると察するが,命にかかわる仕事は,リスクも大きく,思ってもいなかったトラブルへの対処が必要になり,1つのミスがまさに命とりになるかもしれない。責任の重さと精神的にも肉体的にも本当にへとへとになってしまうのではないかと思う。でも日頃,私たちに接しているときの笑顔の輝きは,新しい命の輝きに近いと思った。どうぞ誇りを持って仕事を頑張ってほしい。助産師は,美しく強く花のよう!」
助産師の仕事ぶりを実によく見て評価していると思います。助産師は,妊産婦に寄り添い,強く優しくしっかりと受け止め,ゆるぎなく支える。「女性とともに」ある職業なのです。
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