特集 海外を通して見る,日本の産科の医療安全
各国からの報告
①英国―整った周産期医療安全基盤―助産師への職責の重みと支援システム
日髙 陵好
1
1東京医科歯科大学大学院
pp.574-579
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100355
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英国の周産期ケアシステムの特徴と流れ
周産期ケアシステムについては,表1と図1にまとめたのでそちらをご参照いただきたい。
英国の周産期医療安全システム
医療安全のための中枢機関 National Patient Safety Agency
英国の医療安全対策への本格的取り組みは1999年に始まり,国の中枢部署として2001年に「National Patient Safety Agency(国家患者安全局,以下NPSA)」を設立した。このNPSAが中心となり,医療の安全文化醸成のために各病院やクリニックなどのリスクマネジメントシステムが構築された。NPSAの1つの大きな成果に,国レベルのインシデント注1)報告システムの確立がある。これは「全英報告・学習システム」と呼ばれ,すべてのインシデントが電子ルートによりNPSAに届けられ,NPSAが類別,分析して医療機関にフィードバックするシステムである。インシデント(約85,000件)に関して最初の詳細なる報告書1)が2005年夏に発行,配布された。迅速に取り組むべきタイプのインシデントに対しては,NPSAにより随時戦略が練られ,医療機関はそのプラン―たとえば「正しい手術部位キャンペーン」―を実行に移すなどの取り組みが行なわれてきている。
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