視座
医療におけることばの重み
高木 克公
1
1熊本大学医学部整形外科
pp.659
発行日 1992年6月25日
Published Date 1992/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900866
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整形外科医であると称するにはまだ大変未熟な頃であった,難治性慢性骨髄炎のある患者が,多くの病院を転々とした後に,こともあろうに私に手術をさせてくれた,後に彼が私に話したところによると,外来診察時という短い時間ではあったが,私との間には会話があって,手術方法についての具体的な説明があったので私にまかせることにしたのだということであった.多くの病院が,直ちに入院して直ちに手術を受けなさい,というだけであったというのである.
よき臨床医の第一の条件は,何はともあれ,「病人とのコミュニケーション」を大切にすることであろう.患者との最初の出合いは病歴聴取から始まる.ところで,ジョンズ・ホプキンズ大学タマルティ教授(よき臨床医をめざして)の言をとるまでもなく,『病歴聴取は“会話”であって,聴いたことを写しとる口述筆記のことではない!(History taking is a conversation-not a dictation!)』
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