いのちの現場で したたかに生きる看護婦を追って・9
2000円の重み
長岡 房枝
1
1(株)日本軽金属診療室
pp.1045-1047
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922818
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遺書
医師が高沢由子さんの右乳房X線フィルムを見ながら‘手術しましょう’と言った時,高沢さんは一瞬目の前がぐらりとゆれた.
やはり乳癌だったのかと心中で思いながら,そのことを口に出せないでいると,‘こんなに早く乳癌を見つけるとは,さすがにあなたは看護婦さんですね,手術は1日も早い方がいい.大丈夫,安心しなさい’と高沢さんの心を察してか,医師はやさしい笑顔で言った.当時39歳の高沢さんが遺書を書こうと思いついたのはその時である.
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