特集 海外を通して見る,日本の産科の医療安全
厚生労働科学研究「リスク管理を含めた諸外国の包括的産科管理のあり方に関する研究」の位置づけと目的
松岡 恵
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1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科リプロダクティブヘルス看護学分野
pp.572-573
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100354
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研究の動機
マタニティケアにおいて,消費者の女性たちが求めるものは,「安全性」と「快適さ」である。しかし,日本の母子保健指標は非常に優れており,妊産婦や新生児が亡くなることや,障害を残すことは非常に稀なこととなっている。そのため消費者の女性は,「安全」は「あって当たり前」と認識しているように思われる。それを裏づけるように,消費者女性を中心とするNPO法人いいお産プロジェクトが行なった「いいお産」普及・啓発のための基盤作り事業1)では,「安全性」については言及せず「快適性」に関する評価基準作りが行なわれている。私たち助産師も助産ケアの質を測るうえで,「安全性」は確保されて当然のこととして素通りし,「快適さ」の向上のみに目を向けていた傾向はなかっただろうか。
この研究は,助産ケアの質を「快適さ」の前提にある「安全性」という側面から考え直してみよう,という動機で開始されたものである。
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