連載 訪問看護 時事刻々・151
今月の話題 厚生労働白書
石田 昌宏
pp.848
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102007
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8月、今年も厚生労働白書が発表された。そもそも白書とは政府が社会の実態や施策の現状などについてまとめた年次報告書のことで、閣議に報告されるものだ。イギリス政府の報告書が白い表紙だったので「白書」と言われるようになったそうだが、日本もそれにならったのか、閣議に報告される段階では、たしかに表紙は白い(なお外務省の発行する年次報告書は表紙が青く、「青書」といわれる。外務省の妙なプライドを感じる……)。報告後は市販され、そのときはイラストが入ったカラフルな表紙になる。最近はホームページでダウンロードできるのが普通になった。統計資料もふんだんに掲載されており、その分野の概要を知るには最適の資料だ。
今年の厚生労働白書は「社会保障の検証と展望―国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀」というテーマである。毎年1部と2部に分かれており、1部ではテーマに沿った重点施策が、2部では全般の報告が書かれている。昨年の2010(平成22)年版は政権交代後の長妻昭厚生労働大臣の年で「厚生労働省改革元年―『役所文化』を変える」というテーマだった。意気込みだけに終わったが。また、2009(平成21)年版は「暮らしと社会の安定に向けた自立支援」であり、非正規労働者の急増が話題になった年である。テーマを見るだけで、その頃の話題がわかる。この部分は幹部になる直前の行政官が執筆すると言われ、担当すると将来出世するらしい。執筆動機が強い分、力が入った内容になっていることが多く、読みがいがある。
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